介護ベッドを置くには部屋の広さはどのくらい必要ですか?

FAQ
この記事は約4分で読めます。

Point(結論)

介護ベッドを設置するためには、おおむね6畳以上の広さが確保できるお部屋が望ましいです。これは、ベッド本体だけでなく、介助者が動き回ったり、車椅子などの福祉用具を使ったりする際にも十分なスペースが必要だからです。

最終的にはご本人の身体状況や、使う補助具・車椅子の有無などによって最適な広さは変わりますが、「ベッド周囲に1m程度の介助スペースを確保する」という視点をもつことで、快適で安全な介護環境を実現しやすくなります。

Reason(理由)

安全性と介助効率

介護ベッドを利用する場面では、起き上がりや座位を保つ介助、場合によってはリフトなどの福祉機器を使った移乗などが発生します。こうした介助の際、ベッドまわりが狭いと介助者が身体を動かしにくく、負担が増えるだけでなく、転倒事故につながるリスクも高まります。

また、十分な介助スペースが確保できないと、利用者ご本人も安心して体位変換や起き上がりの練習ができません。
そのため、周囲に1m程度の幅を確保したうえで、ドアの開閉や車椅子での移動がスムーズにできる広さが必須となります。

車椅子や他の福祉用具の活用

車椅子を使う場合は、特に部屋の形状によっては回転スペースが必要になります。一般的には、車椅子1台を回転させるためには1.5m×1.5m程度の余裕があると良いとされます。この広さを確保できないと、車椅子が向きを変えられず、ベッドからの移乗やトイレへの移動などが難しくなってしまうのです。

また、ベッドサイドにはサイドレールオーバーテーブルを設置することも多く、さらにベッド全体の占有面積が大きくなります。こういった福祉用具を使う計画がある場合、最低6畳はもちろん、7.5畳や8畳程度を前提にレイアウトを検討するのが望ましいでしょう。

部屋の段差や出入り口

いくら部屋の面積が広くても、出入り口や床に段差が多いと、折角のスペースが活かしきれません。特に車椅子を用いる場合は、ちょっとした敷居や段差が大きな障壁となり、安全面にも支障をきたします。そのため、介護ベッドを導入する場合は、扉の幅と段差の有無を確認し、必要に応じてバリアフリー化のリフォームや段差解消が求められる場合があります。

また、出入り口が狭いと、車椅子やストレッチャーが通れないため、万一の救急対応などにも時間を要してしまう可能性があります。部屋の“平米数”だけでなく、床の仕上げやドアの有効幅にも注意を払う必要があります。

Example(具体例)

狭い部屋に介護ベッドを導入したケース

例えば、4.5畳程度の寝室に一般的な介護ベッド(幅約90cm×長さ約200cm)を設置するケースを想定してみましょう。ベッド自体は配置できても、周囲のスペースが限られるため、介助者がベッドの周りをぐるりと回り込むことができないことがあります。

この場合、ベッドサイドに立つ場所が限られ、体位変換やベッドから車椅子への移乗などが困難になることが多いです。結果として、介助の効率が下がり、また事故のリスクも上がります。

6~7.5畳程度で十分な余裕を持たせたケース

一方で、6畳以上の部屋を確保している場合は、ベッド横にゆとりをもってサイドレールやオーバーテーブルを置くことも可能です。また、必要に応じて車椅子を横付けするスペースや、介助者が身体を入れ替えて立つスペースもできるので、安全かつスムーズな介助が実現しやすくなります。

さらに、ベッド周りを整頓することで、介助中の予期せぬ転倒やつまづきのリスクを抑えやすくなり、利用者自身も安心してベッドでの姿勢を整えたり、立ち上がり練習をしたりできます。

また、必要に応じてリフトなどの福祉用具を使用する際も、部屋のレイアウトを工夫すれば導入しやすく、将来的に介護度が上がった場合にも対応しやすいというメリットがあります。

Point(まとめ)

以上の理由から、介護ベッドを設置するお部屋は最低でも6畳以上、車椅子やリフトの活用を視野に入れるなら7.5畳以上の広さを念頭におくと安心です。

これは、単に“ベッドを置くスペース”を確保するだけでなく、利用者の快適性と介助者の動きやすさ、安全性をトータルに考えた結果といえます。部屋の段差解消や出入り口の広さにも気を配り、ご本人にとって使いやすく、介助者にとっても作業しやすい環境づくりを目指しましょう。

何より、部屋の広さだけがすべてではありません。実際に利用者や介助者がどのように動くかをシミュレーションしながら配置を考えることで、スペースを最大限に活かすことができます。

介護ベッドの導入は、利用者が安心して日常生活を送るうえで大きな鍵となりますので、ぜひ今回のポイントを踏まえ、ご自身やご家族にとって最適なレイアウトを検討してみてください。