介護保険でリフォームをする場合、上限額はいくらですか?

FAQ
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Point(結論)

介護保険で住宅をリフォームする際の支給限度額(上限額)は、原則20万円です。これは生涯で一人あたり20万円を上限とするもので、利用者の自己負担割合が1割であれば、実質2万円の負担でリフォームを行える場合があります。

また、要介護度が大きく上がった場合など、一定の条件を満たせば再度20万円までの支給を受けられる場合があるため、諦めずに自治体やケアマネージャーに相談することが重要です。

Reason(理由・背景)

高齢化が進む日本において、要介護や要支援の状態にある方が自宅で安全に暮らし続けるためには、日常生活の動線や動作を補助するための住宅改修が欠かせません。しかし、手すりの取り付けや段差解消などのバリアフリー化は、場合によって大きな費用がかかります。そこで公的な支援制度として、介護保険による住宅改修費の補助が用意されています。

ただし、この制度は全てのリフォームが対象になるわけではなく、要介護者や要支援者が居宅で生活を継続できるようにするための改修(たとえば段差解消や洋式便器への取り替えなど)に限定されています。さらに費用の上限は20万円と決められており、それを超える費用は自己負担となります。

上限20万円という数字だけをみると、小規模なリフォームしかできないように感じるかもしれません。しかし、たとえば手すりの取り付けだけであれば大がかりな工事は必要ないケースも多く、自己負担が1割の場合は実質2万円の出費で住環境が大きく改善される可能性があります。

また、要介護度が高くなるなどで追加的な改修が必要と判断された場合に、再度20万円がリセットされる仕組みが用意されていることもあり、工夫次第では十分に活用できる制度と言えるでしょう。

Example(具体例)

手すりの取り付けを行う場合

  • 廊下や階段など、転倒リスクの高い場所に手すりを設置する工事費が合計20万円かかったとすると、自己負担割合1割の方であれば2万円の自己負担で済むことになります。万が一、別の場所にも手すりが必要となって合計費用が20万円を少し超えてしまう場合は、その超過分が自己負担です。
  • しかし手すりの取り付けは比較的低コストで済む場合もあるため、合計しても20万円以内に収まることが多いのが特徴です。

洋式便器への取り替え(和式から洋式へ)

  • 和式便器は足腰の負担が大きい一方、洋式便器は立ち上がりやすく転倒のリスクも低減できます。
  • ただし、工事費や便器そのものの価格が比較的高くなる傾向があるため、合計で20万円を超える可能性があります。その場合は超過分を自己負担することになります。
  • 手すりや段差解消の工事なども同時に考慮するとさらに費用がかさむ場合があるため、優先度の高い改修から計画して上限内に収まるかどうか、ケアマネージャーや施工業者と相談しながら進めることが大切です。

要介護度が変わった場合の再支給

  • たとえば要支援1から要介護2へと大きく介護度が上がったケースでは、現状の住宅改修だけでは生活動線が確保できず、新たに段差を解消しなければいけないことがあるかもしれません。
  • このようなときには、条件を満たせば再度20万円の支給限度額を利用できる可能性があります。
  • ただし、再支給には自治体の判断やケアマネージャーの意見が大きく関与するため、必ず事前に相談してから工事を進めるようにしましょう。

Point(まとめ)

介護保険を利用した住宅リフォームを検討している場合、上限額が20万円であることと、改修内容が介護保険の対象となるかどうかをまず確認することが極めて重要です。手すりの取り付けや段差解消など、バリアフリーに直結する内容であれば、費用の9~7割をカバーできる可能性があります。

また、要介護度の変更や転居などの特別な事情によっては、改めて20万円の支給限度額を利用できる場合があるため、まずはケアマネージャーや自治体の窓口に相談し、適切な手続きを進めましょう。

費用負担の不安からリフォーム自体を諦めてしまう高齢者や家族の方もいらっしゃいますが、小さな改修でも生活の安全性や快適性は大きく向上します。特に廊下や階段に手すりをつけるだけでも、転倒リスクを減らし、自立した生活を続ける上で大きな助けとなるはずです。

さらに、これまで和式便器で苦労していた方は、洋式便器への取り替えによってトイレの負担が軽減され、排泄動作の自立や介助の負担軽減にもつながります。介護保険の住宅改修費は、こうした“ちょっとした変化”を支える重要な制度です。

改修工事を行う前に、必ず事前申請とケアプランの確認を行い、必要な工事内容や費用負担の流れを把握しておくことが大切です。工事完了後は、必要書類とともに実績報告を行い、審査を経て保険給付が支給されます。この一連の手続きも自治体によって異なる点があるため、計画段階からケアマネージャーや施工業者と綿密に連携することで、スムーズに進められるでしょう。

以上のように、介護保険を活用して行う住宅リフォームは、上限額20万円という枠こそあるものの、要支援・要介護の方が自宅で安全に生活するうえで大きな役割を果たす制度です。

条件によっては再支給が認められることもあるので、諦めずに情報を収集し、適切なサポートを受けながら、身体状況に合った住まいづくりに取り組んでみてください。