介護保険サービス種類と使い方を分かりやすく解説|申請方法から自己負担額まで

介護準備・知識
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「親の様子が最近少し心配になってきた」
「もし介護が必要になったら、どんなサポートが受けられるのだろう?」
「介護保険って言葉は聞くけど、手続きが難しそうでよく分からない…」

いざ、ご家族の介護が現実味を帯びてくると、こうした疑問や不安が次々と湧き上がってくるものです。介護は、ご家族だけで抱え込むと、身体的にも、精神的にも、そして経済的にも大きな負担となりかねません。

その負担を社会全体で支え、高齢者の自立した生活を支援するために作られたのが「介護保険制度」です。この制度は、私たちの在宅介護生活における、非常に心強い味方となります。しかし、その仕組みが少し複雑で、どこから手をつけて良いか分からないと感じる方が多いのも事実です。

この記事では、これから介護保険制度の利用を検討されている方のために、制度の基本的な仕組みから、受けられるサービスの種類、利用開始までの具体的な流れ、そして気になる費用や自己負担額について、初心者の方にも分かりやすく、基本から徹底的に解説していきます。

制度を正しく理解し、上手に活用することが、あなたと大切なご家族の安心な介護生活を実現するための、最初の、そして最も重要な一歩です。一緒に学んでいきましょう。

そもそも「介護保険制度」とは? ~知っておきたい基本の仕組み~

まずは、介護保険制度がどのようなものなのか、基本的な仕組みを押さえておきましょう。

制度の目的

加齢に伴って生じる心身の変化により、介護が必要となった高齢者を、社会全体で支えることを目的とした社会保険制度です。


制度の運営主体

私たちが住んでいる各市区町村、および東京23区が運営しています。


被保険者
(保険料を支払う人)

  • 第1号被保険者:お住まいの市区町村に住所のある65歳以上の方
  • 第2号被保険者:お住まいの市区町村に住所のある40歳から64歳までの公的医療保険に加入している方

サービスを利用できる人

  • 第1号被保険者(65歳以上の方):寝たきりや認知症などで、常時介護を必要とする状態(要介護状態)や、家事や身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になったと、市区町村から「要介護認定」または「要支援認定」を受けた方
  • 第2号被保険者(40歳~64歳の方):加齢に伴って生じる特定の病気(末期がん、関節リウマチ、脳血管疾患など、国が定める16の特定疾病)が原因で、要介護・要支援状態になったと認定された方。

自己負担の割合

介護サービスを利用した際、利用者はかかった費用の原則1割を負担します。ただし、一定以上の所得がある場合は、所得に応じて2割または3割の負担となります。


「言葉は聞いたことがあるけれど、仕組みはよく分からなかった…」という方も多いかもしれません。簡単に言えば、「40歳以上の国民みんなで保険料を出し合い、本当に介護が必要になった時に、少ない自己負担で様々なサービスを利用できるようにしよう」という助け合いの制度なのです。

【STEP別】介護保険サービス利用開始までの流れ

では、実際に介護保険サービスを利用するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、利用開始までの流れを6つのステップでご紹介します。

介護保険サービス利用開始までの流れ
  • STEP1
    相談する

    「何から始めたらいいか分からない」という方は、まずはお住まいの地域の相談窓口へ行ってみましょう。制度の概要や手続きについて、専門の職員が無料で相談に乗ってくれます。

    主な相談窓口

    • 市区町村の介護保険担当窓口:高齢者福祉課など。
    • 地域包括支援センター:中学校区ごとに設置の、高齢者の総合相談窓口。
  • STEP2
    要介護認定を申請する

    介護保険サービスを利用するためには、まず「介護や支援が必要な状態である」と市区町村から認定してもらう必要があります。これを「要介護認定」といい、そのための申請を行います。

    • 申請場所:市区町村の介護保険担当窓口。
    • 必要なもの(主なもの):
      • 要介護・要支援認定申請書
      • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
      • 健康保険被保険者証(40歳~64歳の方)
      • 主治医の氏名・医療機関名が分かるもの(診察券など)
  • STEP3
    認定調査を受ける

    申請を行うと、後日、市区町村の認定調査員が自宅などを訪問し、ご本人の心身の状態について聞き取り調査を行います。これを「訪問調査」と言います。

    調査員は、麻痺の有無や関節の動きなどを確認したり、日常生活の動作について約74項目の質問をしたりします。この時、普段の様子を正確に伝えるため、ご家族が同席することが非常に重要です。

    また、これと並行して、市区町村からご本人の主治医に対し、心身の状況についての意見書「主治医意見書」の作成が依頼されます。

  • STEP4
    審査・判定・認定結果の通知

    訪問調査の結果と主治医意見書をもとに、まずコンピュータによる一次判定が行われます。

    その後、その結果と主治医意見書などを原案として、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」で審査・判定(二次判定)が行われ、最終的な要介護度が決定します。要介護度は、自立(非該当)、要支援1・2、要介護1~5の8段階に分かれています。

    申請から原則30日以内に、認定結果が記載された「結果通知書」と、新しい「介護保険被保険者証」が郵送で届きます。

  • STEP5
    ケアプラン(介護サービス計画)を作成する

    認定結果が出たら、次はいよいよ、どのようなサービスを、どのくらい利用するかという具体的な計画書「ケアプラン」を作成します。このケアプランがないと、サービスを利用することはできません。

    • 要支援1・2と認定された方:お住まいの地域の地域包括支援センターの担当者が、「介護予防ケアプラン」を作成します。
    • 要介護1~5と認定された方:居宅介護支援事業所を選び、そこのケアマネジャー(介護支援専門員)に「ケアプラン」を作成してもらいます。

    どちらの場合も、ケアプランの作成費用に自己負担はありません。ケアマネジャーは、利用者本人や家族の希望を丁寧に聞き取り、専門的な視点から最適なサービスの組み合わせを提案してくれます。

  • STEP6
    サービス事業者と契約し、利用開始

    ケアプランが決まったら、そのプランに沿って実際にサービスを提供する事業者(訪問介護事業所やデイサービスセンターなど)と個別に契約を結び、サービスの利用がスタートします。

【一覧】どんなサービスがあるの?介護保険サービスの種類

介護保険で利用できるサービスは非常に多岐にわたります。大きく分けて「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つがあります。

居宅サービス – 自宅で生活しながら利用するサービス

住み慣れた自宅での生活を続けながら、必要に応じて利用できるサービスです。

【訪問サービス】自宅に来てもらう

訪問介護(ホームヘルプ)

ヘルパーが自宅を訪問し、入浴・排泄・食事などの介助(身体介護)や、調理・洗濯・掃除などの家事援助(生活援助)を行います。


訪問入浴介護

自宅の浴槽での入浴が困難な場合に、看護師と介護職員が専用の浴槽を自宅に持ち込み、入浴を介助します。


訪問看護

看護師などが自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて、健康チェックや療養上の世話、医療処置などを行います。


訪問リハビリテーション

理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、心身機能の維持・回復のためのリハビリテーションを行います。

【通所サービス】施設に通う

通所介護(デイサービス)

デイサービスセンターなどに日帰りで通い、食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受けます。高齢者の孤立感の解消や、家族の介護負担軽減にも繋がります。


通所リハビリテーション
(デイケア)

介護老人保健施設や病院、診療所などに通い、理学療法士などによる専門的なリハビリテーションを受けます。

【短期入所サービス】短期間宿泊する

短期入所生活介護/療養介護
(ショートステイ)

特別養護老人ホームなどの施設に短期間宿泊し、日常生活上の支援や機能訓練、医療的ケアなどを受けられます。家族の病気や冠婚葬祭、旅行、休息(レスパイト)などの際に利用されます。

【その他のサービス】環境を整える

福祉用具貸与(レンタル)

車いす、特殊寝台(介護ベッド)、手すり、歩行器などの福祉用具をレンタルできます。


特定福祉用具販売

レンタルになじまない入浴や排泄に用いる福祉用具(腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽など)の購入費が、年間10万円を上限に支給されます。


住宅改修費の支給

手すりの取り付けや段差の解消、滑り止め床材への変更など、小規模な住宅改修にかかる費用のうち、20万円を上限としてその一部が支給されます。

施設サービス – 施設に入所して利用するサービス

自宅での生活が困難になった場合に入所し、24時間体制で介護を受けられるサービスです。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/特養)

常時介護が必要で、自宅での生活が困難な方が対象(原則要介護3以上)。生活の場として、終身にわたり利用できます。


介護老人保健施設(老健)

病状が安定し、病院での入院治療は不要だが、リハビリテーションや看護・介護が必要な方が対象。在宅復帰を目指すための中間施設という位置づけです。


介護医療院

長期的な医療と介護の両方が必要な高齢者を対象とした施設です。医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えています。

地域密着型サービス – 住み慣れた地域で生活を続けるためのサービス

高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域での生活を継続できるように支援するためのサービスです。原則として、その市区町村の住民のみが利用できます。

小規模多機能型居宅介護

「通い(デイサービス)」を中心に、利用者の希望や状況に応じて「訪問(ホームヘルプ)」や「泊まり(ショートステイ)」を柔軟に組み合わせて利用できます。


認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)

認知症の高齢者が、5~9人の少人数で共同生活を送りながら、スタッフの支援のもとで食事の支度や掃除などを共同で行います。


夜間対応型訪問介護

夜間帯(午後18時~午前8時など)に特化した訪問介護サービスで、定期的な巡回と、緊急時の通報による随時対応を行います。

その他にも、様々な地域密着型サービスがあります。どのサービスが自分に合っているかは、ケアマネジャーとよく相談して決めましょう。

気になる費用は?自己負担額の仕組みと軽減制度

介護保険サービスを利用する上で、最も気になるのが費用面ではないでしょうか。ここでは、自己負担額の仕組みと、負担を軽くするための制度について解説します。

1ヶ月の利用限度額「区分支給限度基準額」

居宅サービスには、要介護度ごとに、1ヶ月に介護保険を使って利用できるサービス費用の上限額「区分支給限度基準額」が定められています。この限度額の範囲内でサービスを利用すれば、自己負担は1~3割で済みますが、限度額を超えて利用した分は、全額が自己負担となるため注意が必要です。

【2024年6月時点の区分支給限度基準額(1ヶ月あたり)】

要介護度支給限度額自己負担1割の場合の目安
要支援150,320円5,032円
要支援2105,310円10,531円
要介護1167,650円16,765円
要介護2197,050円19,705円
要介護3270,480円27,048円
要介護4309,380円30,938円
要介護5362,170円36,217円

※上記は基本的な単位数に基づく金額です。地域やサービス内容による加算・減算により実際の金額は異なります。

自己負担額を軽減する制度

それでも自己負担が重くなってしまう場合に備え、負担を軽減するための制度も用意されています。

高額介護サービス費

同じ月に利用した介護サービスの自己負担額の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた分の金額が後から払い戻される制度です。


高額医療
・高額介護合算療養費制度

同じ世帯内で、1年間(8月~翌年7月)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額の合計が、定められた限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻されます。


その他

低所得者向けの施設入所時の食費・居住費の負担軽減制度(特定入所者介護サービス費)や、社会福祉法人等が提供するサービスの利用者負担を軽減する制度などがあります。

「こんな制度があるなんて知らなかった…」という方も多いかもしれません。ご自身の負担がどのくらいになるか、また、どの軽減制度が利用できるかについては、必ず市区町村の窓口やケアマネジャーに確認しましょう。

介護サービスを最大限に活かすための「住まい」の重要性

ここまで様々な介護保険サービスをご紹介してきましたが、どんなに素晴らしいケアプランを立て、優秀なヘルパーさんや看護師さんに来てもらっても、その能力を最大限に発揮できるかどうかは、実はサービスの「器」となる『住まい』の環境に大きく左右されます。

例えば、以下のような「介護サービスを受けにくい家」を想像してみてください。

  • 訪問入浴を利用したいが…
    → 専用の浴槽を運び込むスペースや、給排水のための動線が確保できない。
  • 訪問介護で入浴介助を頼みたいが…
    → 浴室が狭すぎて、ヘルパーさんが介助するスペースがなく、転倒などの危険が高い。
  • 福祉用具をレンタルしたいが…
    → 介護ベッドを置くと部屋がいっぱいになってしまう。廊下が狭くて車椅子が通れない。

これでは、せっかくの介護保険サービスも宝の持ち腐れです。

サービスのポテンシャルを100%引き出し、安全で質の高いケアを受けるためには、介護に適した住環境を整えることが、サービス利用と一体で考えるべき不可欠な要素なのです。

【新しい選択肢】介護保険サービスを活かす家「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」

「リフォームするにも費用がかかるし、今の家の構造では限界がある…」そんなお悩みを解決し、介護保険サービスを安心して、そして効果的に利用するために設計された住まいが、私たち株式会社アイデアの「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」です。

「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」が介護保険サービスと相性抜群な4つの理由

  1. 在宅サービスを前提とした最適な設計
    「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」は、訪問介護、訪問看護、訪問入浴といった様々な在宅サービスをスムーズに受けられるよう、十分な介助スペースと効率的な動線を確保することを大前提に設計されています。
    介護ベッド、車椅子、ポータブルトイレ等の福祉用具の設置も、はじめから考慮した間取りをご提案します。
  2. 住宅改修費用の大幅な削減
    介護保険の住宅改修費の支給(上限20万円)を利用して手すりを付けたり、段差を解消したりするのも一つの手ですが、「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」はバリアフリーが標準仕様。はじめから理想的な介護環境が手に入るため、改修の手間や費用、時間を大幅に削減できます。
  3. プライバシーを守りながらサービスを利用できる
    母屋とは独立した空間なので、ヘルパーさんや看護師さんの出入りを、母屋で生活するご家族が気にする必要はありません。利用者ご本人も、他の家族に気を遣うことなく、リラックスした状態でケアに集中できます。
  4. 経済的なメリット
    「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」は、法律上「居宅」扱いとなるため、もちろん在宅サービスを利用できます。施設サービスのように高額な居住費や管理費が毎月かかることはありません。月々の負担は、介護保険サービスの自己負担分と、ご自身の光熱費などが中心となり、経済的な見通しも立てやすくなります。

私たち株式会社アイデアは、単に「家」という箱を売るのではありません。介護保険サービスを最大限に活用し、誰もが豊かな在宅生活を送るための「最適なプラットフォーム」をご提供するという想いで、「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」をお届けしています。

介護保険サービスが本当に活きる住まいとはどんなものか、ぜひ一度、神奈川県足柄上郡中井町の展示場でご体感ください。

介護保険は「知る」ことから。賢く使って安心な毎日を

介護保険制度は、一見すると複雑で難しく感じるかもしれません。しかし、その中身は、介護が必要になった方とそのご家族の生活を支えるための、知恵と工夫が詰まった心強いセーフティネットです。

大切なのは、一人で抱え込まず、まずは地域の相談窓口へ行き、「知る」ことから始めること。そして、要介護認定を受け、信頼できるケアマネジャーと一緒に、ご自身に合ったサービスを上手に組み合わせて利用していくことです。

さらに、そのサービスを最大限に活かすための住環境づくりにも目を向ければ、在宅での介護生活は、より安心で、より豊かなものになるはずです。

株式会社アイデアの「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」は、そのための新しい、そして非常に有力な答えの一つです。介護に関するどんなお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


株式会社アイデア

C’ZB(シーズビー)シニアリビング

本社:〒259-0132 神奈川県足柄上郡中井町藤沢10-11

展示場:〒259-0121 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1926−4

お電話でのお問い合わせ:0120-848-873(フリーダイヤル)

サービスサイト:https://www.czb.jp/order-made/senior-living/

介護保険と住まいのご相談、お待ちしております。