在宅介護にかかる平均費用はいくらですか?

FAQ
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Point(結論)

在宅介護にかかる1ヵ月の平均的な自己負担額は、概ね2万~4万円程度とされています。

ただし、要介護度が高くサービスを多く利用するほど費用は上がる傾向にあり、また介護保険の自己負担割合が1割・2割・3割のどれに該当するかによっても大きく変動するため、実際の負担額には幅があります。


Reason(理由)

なぜ在宅介護の費用に幅があるのかというと、大きく分けて以下のような要因が考えられます。

要介護度の違い

  • 要支援1・2から要介護1~5まで、要介護度が上がるほど必要とされるケアの量や種類が増え、利用する介護サービスの総額も高くなります。結果的に自己負担額も上昇しやすくなります。

利用する介護サービスの違い

  • 在宅介護では、訪問介護(身体介護・生活援助)、訪問看護、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション、短期入所、福祉用具レンタルなど、さまざまなサービスを組み合わせて利用します。
  • 特に頻度の高いサービス(例えばデイサービスを週に複数回使うなど)や、夜間対応が必要な場合、費用がかさんでいく傾向があります。

自己負担割合の違い

  • 原則として、65歳以上の方や特定疾病の40歳以上65歳未満の方は1割負担ですが、一部の高所得者は2割負担や3割負担となる場合があります。
  • 同じサービスを利用した場合でも、自己負担割合が高いほど毎月の費用は大きくなるため、利用者の所得や資産状況による違いは看過できません。

サービスの超過利用や別途必要になる費用

  • 介護保険内でカバーできるサービスには上限があるため、上限を超えるサービス利用や公的給付の対象外となるサービス(住宅改修費の一部や日常生活支援サービスなど)を利用する場合、自己負担が増えます。
  • また、福祉用具をレンタルせず購入したり、介護用ベッドや手すり等の設備投資を行ったりする場合も、それらが負担増につながることがあります。

Example(具体例)

  1. 要介護1のAさん(自己負担1割)のケース
    • 主に週1回の訪問介護(生活援助)と、週1回のデイサービスを利用。
    • 合計費用が月に約20,000円かかるが、そのうち1割が自己負担なので約2,000円の出費で済んでいる(※利用状況や地域によって変動あり)。
    • ただし、介護保険の範囲外で掃除や買い物代行などを個別に依頼する場合は別料金が発生する。
  2. 要介護3のBさん(自己負担2割)のケース
    • 週3回の訪問介護(身体介護)、週2回のデイサービス、さらに訪問看護も必要となり、総額が1ヵ月あたり約120,000円。
    • 自己負担割合が2割のため、24,000円が自己負担になる。
    • 要介護3程度になると、身体介護の時間が増える分、負担額は高まりやすい。とくに2割負担の場合はなおさら費用がかさむ傾向にある。
  3. 要介護5のCさん(自己負担1割)のケース
    • 在宅療養が長期間にわたり、毎日の訪問介護と週複数回のデイサービス、定期的な訪問看護など、多くのサービスを併用している。
    • 総額が1ヵ月あたり200,000円を超える場合もあるが、自己負担はその1割の20,000円ほどになる。
    • ただし、一部の福祉用具購入や住宅改修費が追加で必要な場面もあり、その際は介護保険の支給限度額を超えると自己負担が上乗せになる。

上記のように、同じ月額総額でも、自己負担割合や要介護度、利用サービスの多寡によって実際に支払う金額は大きく変動します。

また、公的保険がカバーしていないサービスを利用したり、ケアプランの範囲を超えたサービスを追加したりする場合は、その分の出費が上乗せされます。


Point(まとめ)

在宅介護の平均費用としては、要介護度やサービス利用状況、自己負担割合によって月2万~4万円程度となるケースが一般的とされています。とはいえ、高所得者の2割負担・3割負担に該当する場合や、要介護度が高く幅広いサービスを利用する場合などには、5万円以上になることもあります。

在宅介護の良いところは、住み慣れた自宅で生活を継続しながら必要なケアを受けられる点ですが、費用面だけを考えると、施設介護と同様に経済的な負担や家族のサポート体制が重要になります。最終的な費用を左右する要素としては、主に「要介護度」「利用サービスの種類と量」「自己負担割合」「サービスの超過利用や保険適用外サービスの利用」が挙げられます。

したがって、在宅介護の費用を把握するうえでは、まずケアマネジャーなどの専門家に相談し、要介護度や生活スタイルに合わせた最適なケアプランを作成してもらうことが重要です。また、公的な補助や自治体独自のサービスが利用できることもあるため、役所や地域包括支援センターと連携しながら、負担を軽減する方法を模索することが大切です。

家族だけで抱え込まず、地域の相談窓口を積極的に活用し、定期的に費用を見直すことで、在宅での介護を続けやすくなるでしょう。