在宅介護にかかる費用は月いくら?内訳と負担を軽減する制度まとめ

介護準備・知識
この記事は約13分で読めます。

「自宅で親の介護を始めたいけれど、毎月どのくらいの費用がかかるのだろう…」
「費用の内訳や、負担を軽くするための制度について詳しく知りたい」

在宅介護を検討されている方にとって、費用は大きな関心事であり、同時に不安を感じやすいポイントではないでしょうか。実際に介護が始まると、介護サービス費だけでなく、医療費やおむつ代など、様々な費用が必要になります。

この記事では、在宅介護にかかる月々の費用の平均額や主な内訳、そして経済的な負担を軽減するために活用できる公的制度について、分かりやすく解説します。計画的な資金準備と制度の賢い活用で、安心して在宅介護を続けていくための一助となれば幸いです。

また、長期的な視点では、住まいの工夫が費用負担の軽減に繋がることもあります。私たち株式会社アイデアがご提供する、庭に設置する別棟の介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」のような選択肢も、そうした工夫の一つとしてご紹介します。

在宅介護に毎月かかる費用の平均は?

まず気になるのは、在宅介護に毎月どれくらいの費用がかかるのか、という点でしょう。公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)の月々の平均は約8.3万円1です。ただし、これは施設介護も含めた平均であり、在宅介護に限定すると、もう少し幅広く見ておく必要があります。

一般的に、在宅介護の場合、介護保険サービスをどの程度利用するか、どのような医療ケアが必要か、日常生活でどのような物品が必要かなど、要介護度や個々の状況によって費用は大きく変動します。あくまで目安として、月々5万円~10万円程度を想定しておくとよいかもしれませんが、これよりも少ないケースもあれば、もっと多くの費用がかかるケースも十分にあり得ます。

また、月々の費用とは別に、初期費用として住宅改修費(手すりの設置や段差解消など)や、介護用ベッド・車椅子などの購入・レンタル費用がかかる場合があることも念頭に置いておきましょう。

具体的な金額が見えないと不安ですよね。まずは平均像を把握し、次にご自身の状況に合わせた内訳を見ていきましょう。

在宅介護費用の主な内訳を徹底解説

在宅介護にかかる費用は、大きく分けて以下のようになります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

① 介護保険サービス利用料(自己負担分)

在宅介護の中心となるのが、介護保険を利用したサービスです。所得に応じて原則1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)の自己負担で利用できます。主な在宅サービスと、自己負担1割の場合の費用目安(1ヶ月あたり、地域や事業所により異なる)は以下の通り2です。

  • 訪問介護(ホームヘルプサービス):
    • 身体介護(食事、入浴、排泄介助など):1回あたり約250円~580円程度(20分~1時間未満の場合)
    • 生活援助(掃除、洗濯、調理など):1回あたり約180円~230円程度(20分~45分未満の場合)
    • 利用回数や時間によって月額費用が変動します。例えば、週に3回、1時間の身体介護を利用した場合、月額約7,000円~12,000円程度が目安です。
  • 通所介護(デイサービス):
    • 要介護度や利用時間、施設の種類(通常規模型、大規模型など)によって異なります。
    • 例えば、要介護3の方が通常規模型のデイサービスを1日(7~8時間)利用した場合、1回あたり約800円~900円程度。週2回利用で月額約6,400円~7,200円程度が目安です。(食費やおむつ代は別途実費)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ):
    • 要介護度や居室タイプ(多床室、個室など)によって異なります。
    • 例えば、要介護3の方が多床室を1泊2日利用した場合、約1,600円~1,800円程度。(食費、滞在費は別途実費)
  • 福祉用具レンタル:
    • 車椅子:月額約300円~800円程度
    • 介護用ベッド(特殊寝台):月額約600円~1,300円程度(付属品によって変動)
    • 手すり(据え置き型など):月額約200円~400円程度
  • その他:訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導なども、必要に応じて利用します。

【注意点】区分支給限度基準額
介護保険サービスは無制限に使えるわけではなく、要介護度ごとに1ヶ月に利用できるサービスの限度額(区分支給限度基準額)が定められています。この限度額を超えてサービスを利用した場合、超えた分は全額自己負担となるため注意が必要です。ケアプランを作成する際に、ケアマネジャーとよく相談しましょう。

2024年5月現在の区分支給限度基準額(1単位10円で計算した場合の目安)は以下の通りです。3

要支援1約50,320円
要支援2約105,310円
要介護1約167,650円
要介護2約197,050円
要介護3約270,480円
要介護4約309,380円
要介護5約362,170円

② 介護保険適用外のサービス費用

公的介護保険ではカバーしきれないサービスや、限度額を超えて利用したいサービスは、全額自己負担となります。これらを「保険外サービス」や「自費サービス」と呼びます。

  • 配食サービス:
    栄養バランスの取れた食事を自宅に届けてもらうサービス。1食あたり500円~1,000円程度が一般的です。
  • 見守りサービス:
    センサーやカメラ、訪問などで安否確認を行うサービス。月額数千円~数万円とサービス内容により様々です。
  • 家事代行サービス:
    介護保険の生活援助では対応できない範囲の家事(大掃除、庭の手入れ、ペットの世話など)を依頼する場合。1時間あたり2,500円~5,000円程度が目安です。
  • 移送サービス(介護タクシーなど):
    通院や外出の際の移動をサポート。料金体系は事業者により異なります。

③ 医療費

持病の治療や定期的な通院、往診、薬代なども考慮に入れる必要があります。

  • 診察費・検査費:医療保険の自己負担割合(通常1~3割)がかかります。
  • 薬代:処方される薬の種類や量によって異なります。
  • 往診費・在宅医療にかかる費用:在宅医に定期的に診てもらう場合、訪問診療料などがかかります。
  • 歯科診療費:訪問歯科などを利用する場合も費用が発生します。

高齢になると複数の医療機関にかかることも多く、医療費の管理も重要になります。

④ 日常生活費の増加分

介護が必要になると、これまでかからなかった日用品費や、水道光熱費が増加することがあります。

  • おむつ・尿取りパッド代:
    使用頻度や種類によりますが、月額5,000円~15,000円程度かかることもあります。
  • 介護食・栄養補助食品代:嚥下機能が低下したり、食が細くなったりした場合に必要となります。
  • 水道光熱費の増加:
    入浴回数が増える、洗濯物が増える、部屋の温度管理のためにエアコンの使用時間が増えるなどで、月数千円~1万円程度増加する可能性があります。
  • その他消耗品:
    清拭剤、保湿クリーム、使い捨て手袋、消毒液など、細々とした費用も積み重なります。

⑤ その他(状況に応じてかかる費用)

  • 交通費:
    通院の付き添いやショートステイの送迎(施設によっては送迎サービスあり)、家族が遠方から介護に通う場合の交通費など。
  • 介護者のレスパイト(休息)のための費用:
    介護者がリフレッシュするために一時的にサービスを利用したり、趣味や旅行に出かけたりする際の費用。

要介護度・ケース別に見る費用シミュレーション

個々の状況によって費用は大きく異なるため、一概に「いくら」とは言えませんが、具体的なイメージを持つために、いくつかのケースで費用をシミュレーションしてみましょう。

以下のシミュレーションはあくまで一例であり、自己負担1割、1単位10円で計算しています。食費やおむつ代などの実費は含んでいません。

ケース1:Aさん(要支援2) 週2回デイサービス(短時間)と福祉用具(歩行器)レンタル

デイサービス(1回3時間程度、週2回)月額 約3,000円~4,000円
歩行器レンタル月額 約300円

合計(目安):月額 約3,300円~4,300円 + 日常生活費増加分など

ケース2:Bさん(要介護3) 訪問介護(身体介護 週3回/1時間、生活援助 週2回/45分)、デイサービス(週3回/7時間)、ショートステイ(月5日間、多床室)

訪問介護(身体)月額 約10,000円
訪問介護(生活)月額 約3,600円
デイサービス月額 約10,000円
ショートステイ(介護サービス費のみ)5日間 約4,000円

合計(目安):月額 約27,600円 + 日常生活費増加分、ショートステイの食費・滞在費など

このケースでは、介護保険の区分支給限度額(要介護3で約270,480円)の範囲内でサービスを組んでいますが、もし限度額に近いサービスを利用すると、自己負担額もそれに応じて増えます。

ケース3:Cさん(要介護5、在宅酸素療法中) 訪問看護(医療保険 週2回)、訪問介護(身体介護 毎日2回/1時間)、介護用ベッド・車椅子レンタル

訪問看護(医療保険)自己負担割合や利用時間による(介護保険とは別枠)
訪問介護(身体)月額 約35,000円~(毎日利用のため高額に)
介護用ベッドレンタル月額 約1,000円
車椅子レンタル月額 約500円

合計(目安):月額 約36,500円~ + 訪問看護費、医療費、在宅酸素療法関連費用、日常生活費増加分など

これらのシミュレーションは、あくまで介護保険サービス費の自己負担分を中心としたものです。実際には、これに加えて医療費、おむつ代などの日常生活費、保険外サービス費などが上乗せされます。
正確な費用は、必ず担当のケアマネジャーに相談し、ケアプラン作成時に見積もりを出してもらいましょう。

在宅介護の費用負担を軽減する公的制度・仕組み

在宅介護の費用負担は決して軽いものではありません。しかし、負担を軽減するための様々な公的制度4がありますので、積極的に情報を集め、活用しましょう。

① 高額介護サービス費制度

1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額(1割~3割の部分)が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた金額が払い戻される制度です。上限額は世帯の所得状況によって区分されています。

例えば、住民税課税世帯で一般的な所得の方の場合、月々の自己負担上限額は44,400円です(2024年5月現在)。これを超えた分が申請により支給されます。対象となる方には、通常、市区町村から申請書が送られてきます。

② 高額医療・高額介護合算療養費制度

医療保険と介護保険の両方を利用している世帯で、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が著しく高額になった場合に、負担を軽減する制度5です。世帯の所得や年齢に応じた自己負担限度額を超えた場合に、その超えた額が支給されます。こちらも申請が必要です。

③ 医療費控除

1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費(生計を同じくする家族分も含む)が一定額(原則10万円、所得により異なる)を超えた場合に、確定申告をすることで所得控除を受けられ、所得税や住民税が軽減される制度です。以下の介護関連費用も医療費控除の対象6となる場合があります。

  • 医師等による診療・治療費、薬代
  • 訪問看護、訪問リハビリなどの医療系介護保険サービス費
  • 一定の条件を満たす場合の介護福祉士等による喀痰吸引等の費用
  • おむつ代(医師が発行する「おむつ使用証明書」が必要な場合あり)
  • 交通費(公共交通機関利用の通院費など)

領収書は必ず保管し、対象になるか不明な場合は税務署や税理士に確認しましょう。

④ 自治体独自の助成・支援制度

お住まいの市区町村によっては、国や県の制度とは別に、独自の助成金や支援サービスを設けている場合があります。

  • おむつ代の助成:現物支給や購入費の一部助成など。
  • 配食サービスの利用料補助。
  • 住宅改修費の介護保険給付への上乗せ補助。
  • 理美容サービスの助成。
  • 家族介護者への慰労金や手当の支給。

内容は自治体によって大きく異なるため、市区町村の高齢者福祉担当窓口やホームページで確認することが大切です。

⑤ 世帯分離

親と子が同居している場合でも、住民票の世帯を分ける「世帯分離」を行うことで、介護保険料や介護サービスの自己負担上限額、医療費の自己負担限度額などが変わる(下がる)可能性があります。

ただし、国民健康保険料が上がったり、家族手当などの扶養控除に影響が出たりする場合もあるため、メリットとデメリットを総合的に比較検討する必要があります。安易に判断せず、市区町村の窓口や専門家に相談しましょう。

⑥ 税法上の障害者控除

要介護認定を受けている65歳以上の方で、一定の基準(市区町村長等の認定)を満たす場合、所得税や住民税の計算上、障害者控除または特別障害者控除の対象となることがあります。これにより税負担が軽減されます。対象となるかはお住まいの市区町村の窓口で確認し、認定書を発行してもらう必要があります。

費用の相談は誰に?どこにすればいい?

在宅介護の費用に関する悩みや疑問は、一人で抱え込まずに専門家に相談することが大切です。

  • ケアマネジャー(介護支援専門員):介護プランの作成だけでなく、費用に関する相談にも乗ってくれます。利用できるサービスや制度について最も身近な相談相手です。
  • 地域包括支援センター:高齢者の総合相談窓口として、介護保険制度全般、医療、福祉、権利擁護など幅広い相談に対応しています。適切な専門機関を紹介してもらうことも可能です。
  • 市区町村の介護保険担当窓口:高額介護サービス費制度や負担限度額認定、自治体独自の助成制度など、公的制度の詳細について確認できます。
  • ファイナンシャルプランナー(FP):特に介護に詳しいFPであれば、長期的な視点での家計管理や資金計画についてアドバイスを受けることができます。

長期的な視点で考える住まいの工夫と費用:「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」という選択

在宅介護の費用を考える際、月々のサービス利用料や消耗品費だけでなく、安心して介護できる住環境を整えるための初期費用や、将来的な生活の質(QOL)を維持するための費用も長期的な視点で考慮に入れることが大切です。例えば、既存の住宅を大規模にリフォームするには高額な費用がかかる場合があり、また賃貸住宅ではそもそもリフォームが難しいというケースも少なくありません。

そのような場合に、私たち株式会社アイデアがご提案する「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」のような、庭に設置する別棟の介護専用ハウスは、費用面も含めた新しい選択肢となり得ます。

  • 必要な時にすぐサポート、過度な外部サービスを抑制:母屋と隣接していることで、ご家族が必要な時にすぐサポートできるため、精神的な安心感が得られます。これにより、必ずしも全てのケアを外部サービスに頼る必要がなくなり、結果としてサービス利用費を抑えられる可能性があります。
  • 介護に適した環境による突発的な費用の抑制:「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」は、最初からバリアフリー設計で、介護しやすい動線や設備が整っています。そのため、後から慌てて住宅改修を行う必要性が低減し、突発的な改修費用が発生しにくいというメリットがあります。
  • ランニングコストの効率化:コンパクトで断熱性の高い独立した空間は、母屋全体を常に介護に適した温度に保つよりも、光熱費などのランニングコストを効率的に管理できる場合があります。
  • 将来の柔軟性と資産価値:モバイル建築である「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」は、将来的に介護が不要になった場合、撤去や移設、売却、あるいは趣味の部屋や物置として再利用することも可能です。これは、一度リフォームしてしまうと元に戻せない固定的な改修とは異なり、資産としての柔軟性があると言えます。

「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」は、月々の直接的な介護費用を削減するものではありませんが、住環境整備にかかる初期投資の考え方や、長期的なQOL、家族の介護負担軽減といった観点から、トータルコストを考慮した際の有効な選択肢となり得ます。

ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ神奈川県足柄上郡中井町にある弊社の展示場へお越しください。

まとめ:費用の不安を解消し、安心して在宅介護を続けるために

在宅介護にかかる費用は、ご家庭の状況によって様々です。しかし、どのような内訳で費用が発生するのかを理解し、利用できる公的な負担軽減制度を事前に把握しておくことで、漠然とした不安を軽減し、計画的に備えることができます。

最も大切なのは、一人で悩まず、ケアマネジャーをはじめとする専門家や相談窓口に積極的に相談することです。そして、ご家族でよく話し合い、無理のない資金計画を立てることが、安心して在宅介護を続けるための鍵となります。

私たち株式会社アイデアは、介護専用ハウス「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」を通じて、住まいの面から皆様の長期的な安心と快適な介護生活をご提案してまいります。費用のことを正しく知り、賢く備えることで、在宅介護の精神的・経済的な負担を少しでも軽くし、大切な方との時間を心豊かに過ごせるよう、お手伝いできれば幸いです。


株式会社アイデア

C’ZB(シーズビー)シニアリビング

本社:〒259-0132 神奈川県足柄上郡中井町藤沢10-11

展示場:〒259-0121 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1926−4

お電話でのお問い合わせ:0120-848-873(フリーダイヤル)

サービスサイト:https://www.czb.jp/order-made/senior-living/

在宅介護の住まいに関するご相談、「C’ZB(シーズビー)シニアリビング」に関するお問い合わせ、お待ちしております。

脚注

  1. 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査|公益財団法人 生命保険文化センター ↩︎
  2. 介護報酬 – 厚生労働省 ↩︎
  3. サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 ↩︎
  4. 利用者負担の軽減について|サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 ↩︎
  5. 高額介護合算療養費制度 概要 38|内閣府ホームページ ↩︎
  6. 医療費控除の対象となる医療費|国税庁 ↩︎